男のええ格好しい「君に迷惑かけたくないんだ。」完結編

いつもお読みいただき、本当にありがとうございます。
AQUA MIXT 潤治です。
176/365 - Always Kiss Me Goodnight
「君に迷惑をかけたくないんだ。」
「君を傷つけたくないんだ。」
「君にはもっと僕より相応しい男がいるさ。」
僕が中学生の頃、ドラマの影響でしょうか。
こういった台詞を言うことが「男のロマン」のように思っていました。
少年から青年、そして大人になるにつれてその台詞を言う機会も増えました。
(マッチポンプ的に…)
そのたびに中学生の頃からアップデートされていない思考回路が、
「上記の台詞=男のロマン」と認識していました。
僕の思考回路がアップデートされるには、
離婚という機会を待たなければいけませんでした。
この物語に出てくる橋本、その妻の通子、
橋本の拠り所となっている女 内田 の3人は、
それぞれが最愛の人を大切にしたいと思っています。
しかし、各人のダークサイドが愛とはほど遠い力で
真逆にも思えるような言動を表出させます。
始めにインプットした思考回路に誤りがあるために、
誤作動し続けるようなものでしょうか。
これを心理学では「汚染」と言います。

その汚染に本人は気づかずに、
求めていないと思っている状況を引き寄せ続けます。
相手に迷惑をかけることや相手を傷つけることは悪いことでしょうか?
その「汚染」がどのように出来上がったのか、
自分の価値観のルーツを知ることはその後の人生を大きく変えていくでしょう。
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「今日も晴れそうね。」
通子は、その日も橋本が出勤していくのを見送るために 玄関先まで出てきていた。
「今夜も遅くなりそうだから、先に寝てていいからね。」
「うん、いってらっしゃい。気をつけてね。」
橋本の平常心で紡ごうとする言葉に通子は優しさも感じていた。
通子は夫の嘘を受け容れていた。
それがふたりのためになると思っていた。
これから家族として歩んでいくために必要な試練とも自分に言い聞かせていた。
夫の口からその事実を聞かされるのは、これまでの自分たちを否定するような気がしたので、
容認し続けるしかないだろうと諦めていた。
「わたしの母も、そうしてわたしたち家族を守ってくれた。
わたしさえ我慢すれば、きっと報われる時が来るだろう。」
通子の悲しい決意は母親に対する贖罪、つまり罪ほろぼしだった。
通子の母親は彼女が結婚する直前に亡くなっていた。
母親に幸せな姿を見せることで何かが変わるような気がしたが、
それは永遠に果たせないものになった。
「これでいいの…。」
と通子は祈るように空を見上げていた。
橋本は内田との関係が続いていくことを怖がっていた。
会えば、情熱的な気持ちになるし、癒されていく自分も感じるから、
余計に漠然とした不安に呑み込まれそうだった。
不安を見つめていくと、それは彼が感じている「罪悪感」なのだが、
それを直視することが彼にはできなかった。
その罪悪感を拭うように、内田と通子との時間を大切にして、
彼女たちのために何でもしようと思うのだった。
彼女たちを懸命に愛そうとする橋本の動機は
「罪悪感」であることに彼自身は気づいていない。
「君を上手に愛せているだろうか?」
とふたりの女性を前にして、自問する彼だった。
「来月は、通子を旅行にでも連れて行こうかな?」
と空に伸びていく飛行機雲を見て思うのだった。
罪悪感のすり替えは誰にでも起こりうることだが、
その人に生きがいを与えることもある。
橋本の「ええ格好しい」の価値観では、
内省にベクトルは向かわずに、無意識下にある罪悪感の解消に向かうだろう。
その解消に終わりはないのだが、
それはやりがいのあるパズルのようなものでもある。
人生の多くの時間を使ってしまうかもしれない。
また、それぞれの夜が始まろうとしていた。
内田は、橋本との終わりのない迷路に迷い込んだように思っていた。
「わたしのことを大切にしてくれるのはとても嬉しいけど、
同じように、またはそれ以上に奥さんのことも大切にしている。」
彼を追い詰めてしまっている自分を思うとどうにもやりきれなくなるのだった。
彼を癒そうと思っていたのに、彼の懸命にわたしを愛そうとする姿を見ていると
まるでわたしが加害者であるかのように思えてくる。」
「わたしは彼を苦しめてしまっているのだろうか?」
事あるごとに、謝ってくる彼に他意はないのだろうが、
傷ついていくわたしを彼は気づいているのだろうか。
答えはなく、終わりもない、この関係を思うとどうにもやりきれなくなるのだった。
今夜も橋本と会う約束になっていた。
もう、自分に嘘はつけない。
彼女は彼が待つ場所に向かうためにタクシーを拾った。
シートに身体を預けた彼女の心は決まっていた。
彼らの人生はさらに加速して動き出すだろう。
それは各人の魂が望んでいることだった。
どのような結末になろうとも、変化は彼らを磨いてくれるだろう。
(終わり)
-あとがき
誰もが「ええ格好しい」を持っている。
価値観や考え方でその表出の仕方は変わるだろう。
この物語の彼らを誰ひとり、責めることも、裁くことも僕たちにはできない。
あえて、僕が思うことをお伝えするとしたら、
一億総ハイネックノースリーブ状態だということだ。
結局、何がしたいんだ?という叫びである。
寒いのか?いや暑いのか?見せたいのか?隠したいのか?
そのような服装に男たちは翻弄されるだろう。
あまり冷房の効いていないカフェでできればそのままでいて欲しいと祈るはずである。
気を利かせた店員が「温度下げましょうか?」などと
提案して来ようものなら、その店員に殺意を感じてしまうだろう。
それなのに、「ええ、お願いします。」と店員にお礼をして、
目の前の「美」に向かって、「カーディガン着たら?」
ええ格好しいで言うだろう。
そして、帰って泣くだろう。
矛盾をはらむ人生で自分の感情に嘘をつかずに、突き進みたいものである。
「そのまま、ハイネックノースリーブ状態を維持し続けるようお願いしたい!」と。

さらに言えば、「ノースリーブ デコルテメッシュでお願いします!」と。

2015年8月1日(土)
176/365 - Always Kiss Me Goodnight
参加される方々の疑問点、葛藤や悩みを題材に、
男の気持ちを理解、分解、再構築していきます。
シンプルな異性交流を楽しみましょう。
男の本音を余すことなくロマンスエンジェルカードを使って紐解いていきます。

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