何回かに分けて、オラクルカードでリーディングする数名の女性を主人公にして、物語を書いてみたいと思います。テーマは、「自分の直感を信頼すること」「天使とつながる」「スピリチュアル起業」などです。
彼女たちがどのようにして、オラクルカードに出合い、そして、そのメッセージに従い、自らの直感を信頼して歩んでいくか、その道程でのさまざまな体験や感情、などを共有していけることを楽しみにしています。
前回の続きです。オラクルカードに出合った陽子は、そのカードからのメッセージを魂で感じているようです。
オラクルカード女子(オラ女)「陽子の場合」その2
書店で出合ったそのカードはやけにきりにくい大きさだった、手から落ちた数枚のうち、この2枚がやけに気になった。
「New Dawn」
「Helpful Person」
「New Dawn」に関しては、やけにエキセントリックに感じた。陽子はそのカードをまじまじと見つめながら思った。
「意志の強そうな女性ね、日の出を背にして何かを言いたいような…。話しかけてきそうだわ。話しかけてくるとしたら、どんなことだろう?『わたしはわたしって言える?』と問われそう…。」
「Helpful Person」のカードは、3人の人魚たちが仲良さそうに肩を組んでいて、未来への不安は感じられない。
「『あなたはひとりじゃない!』って言われているような氣がする。まだ、出逢っていない出逢いでもあるのかしら?太陽も差し込んでいて、上を見なさいって言われているような…。」
独り言をブツブツと言いながら、カードを見ている陽子だったので、近くにいる店員の氣配を感じられなかった。
その店員は「オラクルカードって不思議ですよね。何かに観られているような感じで…。」と陽子に話しかけてきた。
「あ、すみません…。」と恥ずかしそうに彼女に軽く頭を下げた。
「オラクルカードって不思議…か。」
カードに何か宿っているのか、何か天啓のようなものを受け取る力があるのか…。
陽子はとても不思議に思いながら、カードのメッセージを繰り返し味わっていた。
スピリチュアルな世界には、いろいろな教えがあるように思う。
支持的で押しつけがましいものもあれば、このカードのように何かわたしが感じることを肯定してくるような、寄り添うようなものも、奥が深いというより、乱立しているような…。
それこそ、支持的なもののほうが強く、わたしを動機付けしてくれるような氣がしてありがたさが増すように思えるけど、押しつけられていると思うと少し不愉快だし。
「わたしはわたしよ!」と言い切れるほど、「自分」を持っていないので、その自分を見つけたいというか…。本当にそんな自分いるのかな?と思ってみたり…。
このオラクルカードというものは、何かわたしの内側から呼び起こすものがあるように思える。カードを眺めているとワクワクするし、わたしが普段は氣付いていない感覚や感情を思い出させてくれる。本当に感じたいものを封印していたのか、抑え込んでいたのか、それがいつからなのかわからないけど、このカードがきっかけになって何かわたしの中で化学変化が起こりそうだわ。
陽子はそのオラクルカードを手にして、レジに向かった。
さっきの店員がレジに立っていたので、気恥ずかしかったが、その店員の親しげな対応に心が緩む感覚がした。
「わたしもこの「マジカルマーメイド&ドルフィンのカード好きで、持っています。可愛いですよね?オラクルカードっていろいろな種類がありますので、ご興味がおありなら、また試してみて下さいね。」
彼女はやけに親しげに陽子に話しかけてきた。まるで昔からの友人だったかのようで、嫌味もなかった。近々、またこの本屋に来ることになりそうだ。
陽子は手にしたオラクルカードの包みを大切なプレゼントのように胸に抱えた。
それにしても不思議だ。オラクルカードを購入しただけなのに、もう何かが変わったような氣分だ。
変化とは何かが劇的なものかと思っていたが、こんな日常のちょっとした「いつもと違う行動」の中にあるのかもしれない。
(続く)