台湾を襲った台風「梅姫」はかなりの被害をもたらしたようです。
旅行2日目は朝から暴風雨でホテルから出られませんでした。美食台湾にてファスティングという憂き目に苦笑していました。
台風の目が通り過ぎる夕方を狙って台北駅に向かうと、駅構内や地下街はすでに機能麻痺、出口すら封鎖されている場所もあり地下迷路と化していました。元々、地図の読めない僕ですので、迷いに迷って元の場所に戻るという愚行に再び苦笑いです。
「オレをもてあそぶんじゃない!」と天に言いがかりをぶつける始末。
電車も止まり、タクシーすら捕まらず、結局、またホテルの最寄駅「西門」に戻ってきました。
真っ暗な繁華街を暴風雨の中、よく見渡してみるとやっているお店がありました。
ちっちゃな個人経営のお店をでした。
お店の中は地元民の皆さんにで賑わい、活気がありました。
お弁当を持ち帰る人たちもいて、厨房は大忙しです。
オーダーをすると優しくメニューの説明をしてくれました。
その温かさはとてもありがたく軽度のファスティングは終了しました。
次の日の朝に氣づいたのですが、ホテルに朝食バイキングがあったのを忘れていました。台風の影響におののき、絶食かぁ…とひとりで絶望していたわけです。
すぐに思考停止というか、選択肢が狭まってしまうところもさすがという感じですw。
さて、その暴風雨でも開いていたお店に助けられて思い出したことは、「やらされている仕事かやりたい仕事か」という僕の20代の頃の記憶です。
当時は、スーパーマケットで青果チーフをしていました。
朝から市場に行き、開店準備、陳列や補充、商品加工や発注、閉店までいることも少なくありませんでした。
労働時間は長く、賃金は満足いくものではなく、それなのに本部からの注文(特に人員体制)は過酷なものでした。(その人数でできるか!的な)
さて、ある日、閉店作業をお店が終わる前にしていた時のこと…。
いい加減、帰りたいわけで、もう閉店近くに入ってくる客とか迷惑なだけでした。「ねぇ、パセリある?」とか訊かれると冷蔵庫にあっても「ありません!」と断っていました。
お客さん嫌いの最低な青果チーフでしょ??
そのタイミングで本部のトレーナーがやって来て、その「早すぎる閉店作業」を見て、こう言いました。
「水本、お前が一国一城の主、商人かどうかは閉店時に分かる!閉店間際に来たお客さまを喜んで迎え入れるかどうかだよ。」
「はぁ?」
僕は商人になったつもりもないし、早く帰って、堂本剛くんのドラマ「君といた未来のために」に観たいのに…と思いながらその説教を聞いていました。
その態度が出ていたんでしょうね。
さらに追い詰められて怒られましたから。
その誰かからの受け売りのようなトレーナーの説教も、今振り返ると良いこと言っているなと思います。
今では多くの人たちから豊かさの恩恵を受け取っています。関わってくれる人たち(そして、未来でも待ってくれている人たち、過去から忘れずにいてくれる人たち)に湧き起こってくる感謝も味わうことができています。
閉店間際でも、今なら喜んで迎え入れるかことでしょう。
「やらされている仕事かやりたい仕事か」でその従事するエネルギーが全く異なることも感じます。
義務が権利になり、役割が理想になります。
やらされていることがやりたいことに、ならなければならないものがなりたいものに、なるということでしょうか。
責任は自由となり、安定したい氣持ちは創造するエネルギーになります。
もし、僕がやりたくて青果チーフをやっていたら、先述のお客さまに「パセリですか?ありますので少々お待ちくださいね。他に何かご入用のものはありますか?」と尋ねていたでしょう。
もう少し、ウザくなるなら、「パセリの長期保存方法って知っています?」とお客さまを拘束することでしょうw。
残念ながら、僕がやりたいことは青果チーフではなかったわけです。
台湾の夜、食に迷える僕を救ってくれたお店はまさにそんなエネルギーに満ちていました。
みんなの胃袋はわたしが守っているのよ!的な。
その仕事を愛し、そしてさらに愛す仕事を求めよう!
そんな氣持ちになる夜でした。