ライフワーク一歩手前の物語「僕のコミットメントは『復讐』だった」

20代の頃、スーパーマーケットの青果チーフとして働いていました。

青果チーフとしての毎日は、楽しかったですが、重労働でストレスフルなものでした。
そのストレスは、レジ部門の女子社員やアルバイトの女子との飲み会で発散されました。8218d0819247cc42ba918a30c2566739_s

後に開花することになる「人の相談を聴く」というひとつの才能は、
だらしない同時多発エロへと僕を暴走させていました。

「潤治、わたし、店辞めるよ。」

唐突に、同期の女子が僕に吐き捨てるようにその台詞を口にしました。

当時、レジの女子社員の中でキャバクラや風俗で働く子が少なからずいて、(シフト勤務のため)
スーパーマーケットでのお給料と比べて、バカバカしくなって辞めていく子も珍しくはありませんでした。

「このままずっと、スーパーマーケットで働いていても先が見えているから。」
「潤治はこのまま、チーフ→次長→店長になる人生、楽しい?」

チーフになったばかりで、これから出世するぞ!と思っていた僕に、
問題提議をしっぱなしで、彼女は店を後にしました。

数年後、彼女が結婚をしたと風の便りに聞きました。
僕への問題提議は何だったのか、結婚した彼女を想いながら考えていました。

数年後、僕は離婚を経験します。

奥さんから離婚届の用紙をもらい、その紙にサインをしました。
離婚などするはずがないと思っていましたから、あまりにショックで腰が抜けました。

そのショックを相手に見せるのは格好が悪いと思い、
平気な顔でサインはしました。
そのまま、外に飛び出し、ジョギングしながら号泣しました。

「スーパーマーケットを辞めて、オレ、夢を追いかけるよ!」

数日後、彼女に言い放った言葉は、少し涙声だったかもしれません。
でも、彼女にそれを聞いて欲しかったし、言わずにはいられませんでした。

「潤治なら、夢を実現できると思うよ。」

その時、彼女はなんとも言えない悲しい笑顔をしました。

「潤治なら、できると思う。応援しているから。」

僕が彼女に言い放った精一杯の「コミットメント」は、
彼女との決別の意思表明であり、ある意味、復讐でした。

「どう?こんな危険な荒波の海に出て行く僕?
人生、ギャンブルに出たよ?救えないよ?僕のこと?」

「いい?ちょっとは責任感じてよね?
僕がこんな決断しちゃうのは、君のせいでもあるんだよ?」

「なんか反対するようなことを言ってよ!無理だよとか。
それに対して反論して言い合いなんかしちゃうから!
泥仕合も辞さない覚悟よ!」

というのが、コミットメントに隠された「彼女に届けたい本当の言葉」でした。
どこまでも責任転嫁、覚悟のない僕なのでした。

先述のスーパーマーケット時代の彼女が吐き捨てた言葉は、
同じく、僕への復讐だったのかもしれないと、長年の疑問は氷解しました。

「あんたを汚してやりたい。」
愛していた人に対して、化学変化を起こすように憎しみを持てるなんて人間は素晴らしい!

さて、

「コミットメント」は格好が良い。
それをするだけで、何か大きなことをしたような氣になるから。
ただ座っているだけなのに、何かを達成したような氣がするし。
壇上でかました日にはアドレナリンが出て氣持ちが良い。
本当の想いも、その暑苦しい言葉に一時忘れられるから。

残念ながら、僕のコミットメントは、動機が不純なものだったので、
すぐに燃え尽きることになりました。

復讐じゃあ、走り続けられませんよ、本当。

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