「迷惑をかけちゃダメ!」って何だ?代々受け継がれるバトン

娘の小葉がお店でわがままを言い出すことがあります。

周りのお客さんの目を氣にして、お店の人たちのことを思って、
彼女に「皆さんの迷惑になるからね。静かにして欲しいな。」と声をかけるわけですが…。

まれに意志の疎通が上手くいかない苛立ちからか、大声でごねることがあります。
そのくらいになってくるとこちらも平静ではいられないので、キツい言い方になり、
「他人に迷惑になるでしょ!?分かる?」と無理な要求をしてしまうのです。

そもそも、他人に迷惑をかけるということの定義が僕自身ハッキリしていないのですから、
それを小葉に向けて、言い聞かせようとしても都合のイイ話です。

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迷惑をかけるということを定義したことはありますか?
何がありで、何が無しでしょうか?
何を基準にして、迷惑かどうか決めているのでしょう?

僕が生まれた時の父から僕へのメッセージは…
「他人様に迷惑をかけない立派な人間になって欲しい。」でした。

母も、よく言っていました。

「人の迷惑になるから、あまりはしゃがないようにね。」
「人の迷惑になるから、我慢しなさい。」

その父も母ももう「Around 80」。

父は認知症が進み、会話が成り立たなくなりました。
その父のために住居型介護施設の見学、実家のローンの支払い、
家財整理に奔走する自分に苦笑する日々です。

母は僕の姉との折り合いが悪くなり、
僕の住む家の近くに姉のところから逃げるように越してきました。僕たちが家賃の都合をつけながら、母は余生を楽しんでいます。

ふたりが勝手氣ままに離婚をし、自由に暮らしていることを
子どもながらに沸々とした氣持ちで観ていました。

介護施設の見学をして、とんぼ返りで自宅を目指し車を飛ばしていると、
何だか泣けてきました…。

迷惑かけないように頑張ってきた自分が情けない。
それを耳にたこができるほど言い聞かせた張本人は今、迷惑限りない存在。
全く意味の無いルールを守ってきた自分の馬鹿馬鹿しさ。

まるで、横断歩道で手を上げて渡ることをしゃかりきに守ってきたバカ息子。

誰も手なんか上げてないじゃないか!と叫んでいるわけです。

笑いながら、ほろほろと涙が落ちてきました。

「何を大切にしてきたんだ?」
「親の価値観を必死に守ってきたのか?」
「そうしてまで、親を愛そうとしていたのか?」
「認知症のあの人は、もう父じゃない。」「価値観だけ僕に刷り込んで、認知症で勝ち逃げなんて許せない。」

父の面談に行くと、必ず僕に言って聞かせる言葉があります。

「潤治に家を残してやったことだけが良かったと思うんだ。」

今、誰も住んでいない、ローンも残っている僕の実家。

父の中では、都合良く修正され、
親としてやりきった感を遠い意識の中で満喫しているようです。

「僕は何のために、誰のために、迷惑をかけないように…と、生きてきたんだろう?」

雨上がりの高速道路を走る車の中で自分に問いました。

振り返ってみれば、迷惑をかけてはいけないと思えば思うほど、
僕は不義理を繰り返し、他人を傷つけ、収集のつかない人間関係を体験してきました。

親の価値観を守るために、彼らをうかがいながらその価値観を自分に刷り込んだとしたら、
僕はなんてダサい奴なんだと。その反動で迷惑かけまくりじゃないかと。

この代々受け継がれるバトンは、僕でアンカーになることができるだろうか?

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